山田くんの養蜂講座第30 板数の調整
山田くんの養蜂講座第30回では、10月の飼育のポイント、板数の調整に関して説明します。
●10月の蜜蜂の様子。
10月は秋の建勢または、増勢から秋の衰退期へと切り替わます。10月初旬。越冬直前に花粉、蜜を提供してくれるアワダチソウが開花し、産卵はピークを迎えます。そしてアワダチソウが散り、気温が下がり始めると産卵は徐々に鈍くなり始めます。
↑開花直前のセイタカアワダチソウ。
以上が蜜蜂の様子です。越冬を見据えるとアワダチソウが散る頃までに可能な限り働き蜂に増えてもらうことが重要です。働き蜂に増えてもらうためのポイントは3つあります。
ポイント①板数の調整
ポイント②産卵圏の確保
ポイント③働き蜂の密度
今回はポイント①板数の調整に関して説明します。
働き蜂に増えてもらうためには、できる限り板数が多い方がよいです。例えば、3枚群と6枚群では6枚群の方が蜜蜂の数は増えやすいです。また、来春、越冬後の春の建勢を考えると板数は1枚でも多い方が良いです。
そこで10月初旬には越冬を見据え、最小でも4枚群(充群)になるように調整します。※病菌の蔓延とダニの寄生拡大防止の観点から、調整しないで済むように管理することが非常に重要で、基本的には調整はお勧めしていません。健康群が大スズメバチの被害にあって働き蜂が激減してしまった場合のみ行うことをお勧めします。
【養蜂の超基本】
養蜂の超基本ですが、健康群を増やし調子が悪い群は延命しない。ダニや病気の蔓延の原因となる。
【調整方法3つの注意点】
注意点①健康な群
不健康な群の巣碑枠の移動は病気の蔓延の原因となります。巣碑枠はダニの寄生率が安全値で尚且つ健康な群から選びましょう。
注意点②女王蜂の産卵状況
女王蜂の産卵状況が悪い場合は、調整はしないことをお勧めしています。産卵が悪い群は調整を行っても一時的に勢いが出ますが、直ぐに失速し元の状況になります。
↑産卵状況の悪い群の産卵圏の巣碑枠の様子。放射場に産卵せず、まばらに産卵されています。このような群は可哀想ですがそのままにします。
注意点③健康群を守る
移動させる蜂児枠は1枚にして下さい。多くの蓋蜂児枠を移動させると健康な群が失速する原因となります。健康群の産卵状況をしっかりと巣碑枠を移動させても問題ないか確認し慎重に判断しましょう。移動させていいのか判断が付かない場合は止めましょう。
【板数の調整2つの方法】
調整方法①有蓋蜂児枠の移動
健康群から働き蜂を振い落した有蓋蜂児枠を1枚移動させます。1枚足しても4枚群にならない場合でかつ、健康群が複数群居る場合は、移動させた有蓋蜂児が羽化したら再度蓋蜂児枠を移動させます。この作業を4枚群になるまで繰り返し行います。
調整方法②合同
健康な群から働き蜂がついた状態の蓋蜂児枠を1枚合同させます。合同は新聞紙を使って行います。※同じ蜂場で合同作業を行うと働き蜂は元の巣箱に帰ってしまいます。合同は2km程離れた蜂場を活用しおこないましょう。
21年10月11日 改定