山田くんの養蜂講座 第29章 9月の飼育のポイント ダニ対策
山田くんの養蜂講座(西洋蜜蜂の育て方)第29章では、9月の飼育のポイント3ダニ対策に関して説明します。
9月になり外気温が30度を下回り始めると、女王蜂の産卵は活発になり働き蜂の数が増え始めます。9月以降に生まれる働き蜂は越冬に関係する非常に重要な働き蜂です。そのため9月になったら女王蜂が子育てをしやすい環境を作る事がとても大切です。環境を作るポイントは3つあります。今回は環境作りの3つ目のポイント、ダニ対策に関してお話します。
9月はダニの寄生による被害が拡大し始めます。
5~7月、働き蜂の数が最大値に達すると共にダニの数も増えます。8月になると女王蜂の産卵が鈍くなるため1つの巣房に沢山のダニが寄生するようになります。その結果、羽化不全が起きやすくなる、奇形の働き蜂の数が多くなる、吸血による働き蜂の短命化が起きるなどして働き蜂の数が一気に激減し弱群化し最悪は全滅します。
↑画面中央、下を出して死んでいるのがダニの寄生の被害に合い羽化不全を起こした働き蜂。
寄生の被害が酷い(奇形の働き蜂が目につく、寄生率が10%を超えている、羽化不全で死んでいる働き蜂が多いなどの)場合には薬を投与するだけでは充分な効果を得られない場合があります。理由は、近年ダニの薬が効きにくくなっていることや、ダニを駆除する間にウイルスが蔓延しダニを駆除できたとしても弱群化したり全滅することがあるからです。
そこで今回は被害が酷い場合の対処法4つのステップを紹介します。
STEP1:蓋蜂児枠を捨てる
蓋蜂児枠を全て諦め捨てます。蓋蜂児の中には多くのダニが寄生しているからです。また蓋蜂児枠を捨てることで働き蜂の密度が上がりチョーク病を防げます。さらにダニの薬が効きやすくなります。ウイルスの蔓延を防ぐため蓋蜂児枠を捨てる作業を行う時に奇形の働き蜂は全て取り除いて下さい。
↑諦める対象となる蓋蜂児枠の様子。
STEP2:薬を投与する
STEP3:給餌する
薬を投与したら0.5kg前後の砂糖水を与えます。砂糖水を与える目的は助かるかどうかを判断するためです。1週間経過しても砂糖水を食べ残す群は助からないことが多く全滅を覚悟する必要があります。全ての群を救うことはできません。
STEP4:蜂児を足す
ダニと薬を接触しやすくするため蓋蜂児枠を捨ててから9日はそのままにします。9日が経過したら越冬を見据え群を立て直すため健康な群から蜂児枠を1~2枚働き蜂がついた状態で合同させます。
蜂児枠を合同させる条件は、砂糖水を食べきった、女王蜂が密に産卵をしている、以上2点を満たしている場合です。
以上が4つのステップの説明です。4つのステップを実践しダニを駆除しましょう。
※今回紹介した方法は複数群飼育していて健康群から蜂児枠をもらえる事を前提としています。また、今回紹介した方法を実践しても助からない場合もあります。そのためこの4つのステップを実践しなくてもよいようにこまめに粉砂糖法を行い寄生初期で薬を投与するなどの対策が取れるようにするのが重要です。
本講座記載日2016年9月4日